PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

神聖王国ミノッツ
騎士王国シルヴァードと領土を面した国家。
国土を治めるのは国王であり教皇であるパルマ四世。

:神聖王国 “青い跳ね魚”亭:
 看板に、特徴的な、流線状の翼を持った魚を描いた宿屋。
 二階建てで、こぢんまりとした平屋の離れに、小さな厩舎も持っている。
 竜追いギルドと協力関係にあり、冒険者相手にはある程度のサービスをするよう義務づけられている代わりに、客の紹介その他の報酬を受け取っている。

投稿(件名…神聖王国 “青い跳ね魚”亭)
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GM

 軍馬のオニキスを連れ、リューイはミノッツ王都の南門に向かった。南門の前には、クェスト草原が広がっている。


ジレ

 アルファンの帰りをのんびりとしながら待っていたジレは、それまで昼寝でもするように戸棚の上で丸くなっていたが。

リューイ<

 リューイの挨拶にちらりと目を開け、ゆらゆらとしっぽを振って答える。


ノーイ

リューイ<

「動く鎧に魔法の扉……?」
 首をかしげて反問する。
 まだ魔術を学んでいないため、聞いたことがなかった。
 それから、なるほどと頷く。
「そういう物も作れるようになるんですね。
 でしたら、片づけに時間がかかるのも分かります」

 笑って、手を振る。
「行ってらっしゃい、リューイ。
 本当に、気を付けて」
 足元にいたラニを捕まえて、ラニの手で「ばいばい」をしてみせる。


リューイ

ノーイ<

 追い出された、という話に軽く目を見開く。
 その後、面白がるように僅かに瞳を細めた。
「・・・動く鎧を止めるとか、魔法のかかっている扉の解除とか・・・?」
 片付けるという言葉に、アルファンの屋敷を思い出してそんなことを言う。

「・・・なるべく期待に沿えるよう、努力します。
 ――じゃあ、いってきます。」
 怪我をしないでという言葉にそんなふうに答え、軽く片手をあげた。

 その後ジレにも同じことを伝え、ダニエルとの集合場所へと向かう。


ノーイ

 誰か来たな、と思って振り返るとリューイが立っている。
 リューイと同じように瞬きを繰り返して見つめる。

リューイ<

「リューイはお仕事に行ったと聞いていたから、会えないかと思いました」
 率直に言う。
 それから、何かを思い出すように目を天井にさまわせ、困ったように笑う。
「お師匠様――魔術を教えてくれる母さんの友達ですが、『まだ準備ができていないから入ってくるな』といわれて追い出されてしまいました。
 弟子を入れられる部屋じゃないそうで、掃除に時間がかかっているとのことです。
 本当は今朝までには綺麗にさせるつもりが、思っていた以上に汚かったそうです」
 それで、とりあえずご飯を食べることにしました。と締めくくる。

 砦に行くと聞いて、微笑む。
「自警団の初仕事なんですね」
 頭なでてくれた礼とばかりに、ラニがリューイの手を舐める。
「気を付けていってきてください。
 怪我をしないでくださいね」


リューイ

ノーイ<

「・・・ノーイ、ラニも。戻ってきていたんだ。」
 数回瞬きを繰り返した後、そんな風に声をかけた。
 笑顔に近い、柔らかな眼差しをふたりにむけると、ことりと首を傾げる。
「何か、修行が終わるまでは庵に篭っているような気がしてた。
 今は自由時間?」
 そんな風に尋ね、自分はこれから南の砦へと向かうことを手短に伝えた。
 軽くラニの頭を撫でたあと、
「今回も、強そうな同行者がいるから・・・足手まといにならないように、がんばってくる。」
 僕もノーイたちに負けられないから。
 ふわりと、今度はきちんとした微笑みを浮かべてノーイを見る。


GM

 リューイが戻ってきたのはちょうど昼時。
 魔術師の庵にいったはずのノーイがテーブルにつき、どうやら軽食をつまんでいるようだ。
 傍らではラニが、ミルクの入っているらしい皿を一心に舐めている。リューイの帰還にも気が付いた様子はない。


GM

 アルファンが出発し、それを見送ったリューイも竜追いギルドに移動した。


アルファン

リューイ<

「そうですね、実際の所、私も騎士と――剣士の方と行動を共にしたことはありませんし。魔術の触媒を探しに冒険まがいの事をすることはありましたが、そのときの護衛は剣士とは言い難い使い魔ですから」
 こちらこそよろしくお願いします。そう続けた。
「では、行って参ります。リューイもお気を付けて」


ジレ

リューイ<

 素知らぬ顔で顔を洗いつつ、ちらりと視線を上げて舌を出してみせる。
 一瞬、耳を動かして、挨拶でもするようだった。


リューイ

アルファン<

「ありがとうございます。」
 表情を明るくしてアルファンを見る。
「アルファン達と一緒にいれば、魔術に関わる機会は間違いなく増えると思うんです。
 僕だって、足手まといになるわけには行かないですから。」
 よろしくお願いします、といって軽く頭を下げた。
「僕も、ギルドによって仕事を紹介してもらってきます。
そこで話を聞いてからしか、予定はわかりませんけど・・・そうですね、僕も何かあるときには、こちらに連絡をいれるようにします。」
 ジレを覗き込み、ちらりと笑みを浮かべてみせる。
「いってらっしゃい。気をつけて・・・僕で役に立てることがあったら、言ってくださいね。」
 立ち上がって、少し表情を改めてそんな風に言った。


アルファン

リューイ<

 くすりと笑む。
「もちろん、いつでも構いませんよ。私などでよろしければ。
 あることについて曲がりなりにも知識のあるものが、その知識を分け与えることを厭ってはいけません。それは不自然なことです」
 それから、リューイの言葉を受けて頷く。
「リューイは心の真っ直ぐな方ですね」
 まるでそれで全部説明がつくというかのように微笑んだ。
「さて、それでは」
 本を閉じる。
「私も行って参ります。まずは知人の魔術師に会いに。
 しばらくは出かける日が続くでしょうけれど、大抵は夜までには戻ってくると思います。私が予定で帰らないときは、ジレに言づてをさせますから、ご心配なさらないでくださいね」


リューイ

アルファン<

「本当に、たいへんそうです。」
 そう言って、これ見よがしなため息につられたように微笑を浮かべた。
「・・・暇な時でいいので、いつかまた、魔術について教えてくれませんか?
 魔法に剣で対抗するのは無茶なことだろうけど・・・そういう事も今後あるかもしれないし」
 そう言った後、我に返ったように首を傾げる。
「――魔術師を志しているわけでもない者が、こんなお願いをするのは失礼でしょうか?」
 そうだったらすみません、と少し困ったように眉を下げた。

「それなら、ギルドで紹介状を貰えば大丈夫そうですね。」
 表情を明るくして、そんな風に言った。
「・・・僕も、気になるんです。『竜追い』は創造竜をさがす者、『ギルド』はそのための情報を提供したり交換したりする場所でしょう。
 その情報が、曲げられていいはずがない。」
 小さな、しかし、どこまでも真摯な声でリューイはそう言葉を紡ぐ。
「・・・だから、もし、誰かがそんなことをしているのなら・・・僕は止めたいんです。」


アルファン

リューイ<

「自分が学んだことには、記録を付けているのです」
 と、アルファンのサインの入った、分厚い本を示す。
「本当に、知ることができなかったら私たちは魔術師ではいられませんから。知ったら、覚えなくてはいけませんし、覚えたものはいつでも取り出せなくてはなりません。大変です」
 ふう、とこれ見よがしにため息をついてみせる。
 それから、微笑んだ。
「リューイなら、どこでも雇ってくれると思いますよ。
 ミノッツでは官憲の力も強いですが、市民の自治意識も高いですから、いくつもの自警団があるはずです。
 リューイが手伝ってくださるのは嬉しいですし、助かります。
 ありがとう」


リューイ

アルファン<

 すすめられたお茶を謝礼と共に受け取る。
 それを飲みながら、アルファンの話に耳を傾けた。
「・・・『忘れていること』に気付くのが、僕はすごいと思いますけど・・・」
 そう言いながら、彼女が手にした巻物に視線を落とす。
「魔術師の人たちは、『知る』ことが仕事だと聞いたことがありますけど、本当なんですね。」
 表情を和ませて、感心したように呟いた。
 その後、僅かに考え込むように黙り込む。
 カップと、その中に揺れるお茶をじっと見つめー視線をもう一度アルファンへと戻した。
「――僕も、できることからやっていこうと思います。
 自警団か何か、この町でできる仕事を見つけて・・・いろいろ、情報を集めてみたいです。」


アルファン

リューイ<

「お帰りなさい」
 巻物から目を上げて、リューイにほほえみかける。
「お茶を頼んでおきました。どうぞ、召し上がってください」

 ノーイの話を聞いて、笑う。
「そう、私も聞きました。それならしっかりがんばるように、励ましておきました。
 大丈夫ですよ。
 あの子がリューイに追いつくなら、相当な努力をしなければならないでしょうね」
 にこりとする。
「ええ、私も怠けているわけには参りませんから。これまで覚えてきたことを忘れないためと、新しく覚えていくために必要なことです。今はどちらかといえば、思い出すための勉強というのが大きいかも知れません。
 娘たちの中には、私の学んだことを一緒に持って行ってしまったものもおりますから。
 復習をしてみて、だいぶ、色々なことを忘れてしまったことに気が付いて驚いてしまいました。
 まずは、読書をこなすのが仕事になってしまいそうです」


リューイ

アルファン<

「――ただいま、戻りました。」
 読み物の邪魔をしないよう、幾分小さな声で声をかけた。
 アルファンの向い側に腰を下ろすと、
「・・・ノーイは何か、とても頑張るつもりのようですね。
 僕を‘守れるようになる’のだと言っていました・・・うかうかしていると負けてしまいそうです。」
 苦笑を浮かべようとして、失敗する。
 どこか楽しそうな微笑が、うっすらとその顔に浮かんでいた。
 負けないよう、自分も頑張ろうと思う。
 少しでも強くなって・・・胸を張って彼女の前に立てるように。

 明るい色合いの目を、興味深そうにアルファンの手の巻物へと向ける。
「――アルファンも勉強ですか?」


GM

 リューイが戻ってくる頃には、少し日も上がり、外は暖かくなってくる。アルファンは、二人が出て行ったときと同じような様子で巻物を広げている。テーブルの上に暖かなお茶の入ったカップが二つ載っているのが、先ほどとは違う。


GM

 リューイとノーイは魔術師の庵へ向かった。


ノーイ

リューイ<

「はい」
 同じような、笑顔で、頷く。
 リューイのその表情には気が付かないでか、気が付かない振りでか、ただ幸せそうに微笑んでいる。

 リューイについて戸口の方に行く。
 後ろを振り返り、

アルファン<

「じゃあ、行ってきます。母さん」
 挨拶すると、手を振って、外へ出て行った。


リューイ

ノーイ<

 ノーイの顔を、少し息を詰めるようにして見ている。
 金の髪飾りと彼女の笑顔に、リューイはしばらく硬直したように固まっていた。
 やがて、ゆるゆると息を吐くと、表情が柔らかくとける。
「・・・とっても似合うよ。」
 良かったと、小さな声で呟いたのにノーイやアルファンは気がついたかもしれない。
「君の望むようにしてみたらいい。がんばって。」
 光に透けるような綺麗な笑顔が、ほんの僅かな時間、リューイの顔を彩った。

「――じゃあ、行こうか。君の先生をお待たせしたら悪いもの。」
 唐突なくらい、急に話題を変えるとリューイは立ち上がった。
 ノーイやアルファンを見ないようにして、戸口のほうへと足を向ける。
 やや伏せ気味の横顔、耳元が真っ赤に染まっているのがわかった。


ノーイ

リューイ<

「ありがとう、嬉しいです」
 送っていくという言葉に、にこりとして頷く。
 ラニを床に下ろすと、椅子から立ち上がろうとする。

 そこで、リューイが髪飾りをテーブルに置いた。

 きょとんとして髪飾りとリューイとを見て、それから、ゆっくりとほほえんだ。

「綺麗ですね」
 手に乗せて、見つめる。

「ありがとう。
 本当に嬉しいです。どれくらい嬉しいか分からないくらい嬉しいです」
 そして、髪に挿す。
 艶のある黒い髪に、金色の飾りがよく映えていた。


リューイ

ノーイ<

「じゃあ、送っていくよ。」
 そろそろ行かなければ、という言葉に腰を上げかける。
 続けられたノーイの言葉に
「役立たずだなんて、思ったことはないけど・・・」
 苦笑のようなものをひらめかせてノーイを見る。
 明るい色合いの瞳が、それ以上に温かな光を浮かべているようにも見えた。
「・・・うん。がんばってきてください。」
 そう言って、ノーイの前に隠していたものを置いた。
 金色の、月や星がデザインされている例の髪飾りだ。
「――ええと、これからがんばるノーイに・・・贈り物、です。
 餞別だと思って、貰ってもらえると、嬉しいんだけれど・・・」
 少し緊張したように視線を伏せて、それでも言葉を途切らせることなくそう言った。


ノーイ

リューイ<

「はい、とてもいいものが」
 にこりとする。
「おかげで、帰ってくるのが遅くなってしまいました。
 わたしは、そろそろ、母さんに紹介してもらう人の所に行かないと」
 隠されている手には気づかず、
「しばらく別行動になってしまうのは嫌だけれど、少しでも、早く、役立たずでなくなりたいと思ってます」


リューイ

ノーイ<

 輝くような笑顔を目を眇めて見つめる。
「――おはよう、ノーイ。」
 散歩をしてきたという台詞に
「そうだね・・・しばらくの間はこの町で暮らすのだから、色々知っていた方が便利だろうな。
 僕も後でまわってみよう。」
 そんな風に言って、ノーイとその腕の中のラニを見た。
「何か、すてきなものは見つかった?」

 小さく微笑みを浮かべるリューイの片手は、なぜか不自然にテーブルの影に隠されていた。


ノーイ

「ただいま、母さん」
 足元を跳ね回るラニを連れて、中に入ってくる。

リューイ<

 リューイの姿を見つけると、一際明るい笑顔を浮かべる。
「おはようございます、リューイ」
 ラニを抱き上げると、二人の座っている席に腰掛けた。
「ちょっと、散歩に行ってきました。これからしばらく滞在するのだから、何があるのか見ておきたいと思って」


GM

 と、宿屋の扉が開く。
 開かれた扉から、朝の光が大きく射し込まれてくる。


リューイ

アルファン<

「――僕は自警団とか・・・この町の中で仕事をしながら、情報を集めてみようと思うんです。」
言葉を探すようにして話し出した。
「アルファンの調べ方が一番、近道だと思います。
だけど・・・だからでしょうか、違う方向から調べて、わかることもあるような気がして・・・」

 アルファンの視線を追い、すぐに、慌てた様子で髪飾りを懐へ戻す。
 なんとなく下を向き、テーブルの上に視線を固定しながら朝食を再開した。


アルファン

リューイ<

「ええ」
 こちらも、リューイにあわせることにする。
「とりあえず、蛇の道は蛇。創造竜信仰のお膝元ではありますけれど、この町にも、私の同類が多く、住んでいます。それでこそ、あの子の教師も探せたのですね。ですから、まずは、魔術師仲間に、最近の情報を教えてもらおうかと思っています。私は今は魔術師とはいいにくいのですけれど、あちら、こちらに、貸しているものもありますから。
 リューイは、どうなさるのですか?」

 と、宿屋の入り口の方に視線を移す。
 まだ入ってきてはいないが、どうやら、ノーイが帰ってきたようだった。


リューイ

アルファン<

「餞別として渡してみては」という言葉に、ようやく顔をあげる。
 まだうっすらと朱がのぼっているものの、表情は少し明るくなっていた。
「・・・そう、ですね。そうしてみます。」
 そんな風に言って、髪飾りを握る手に力をこめた。
 アルファンの笑顔につられるようにして、笑みを浮かべる。

「ええと、そういえば・・・あなたはノーイが修行している間、どうやって過ごすつもりですか?
 調べものをすると先日言っていましたけど・・・」
 無理やり、と言った様子で別の話題を持ち出す。
 けれどこの件が気になっていたのは事実で、表情もいつも通りの生真面目なものに戻っていた。
「僕も、とりあえず仕事をしながら、調べてみたいと思っていたんですけど・・・
 アルファンは、何か当てでもあるんですか?」


アルファン

リューイ<

「本当に綺麗な髪飾りですね」
 動揺している様子が可愛いと思うが、あんまりからかうのも可哀想なので、その言葉は仕舞っておくことにする。
「そうですね……ちょうど良いかもしれませんね。ノーイはこれからしばらく、魔術の勉強をしなければならないことだし、いかがでしょう、『餞別に』という形を取ってみたら。
 きっと、あの子も喜びますよ」
 にこりとする。


リューイ

アルファン<

 笑っているアルファンを、ほんのすこし恨めしげに睨む。
 目も耳も鋭い、と言う言葉に、
「・・・・・・肝に銘じておきます。」
 大きく息を吐くと同時に、そう呟いた。
 隠したままというのもおかしいかと、リューイはテーブルの上に髪飾りを置く。
 柔らかな金色のそれを指でなぞりながら、困ったように口を開いた。
「渡しあぐねるというか・・・どうしようかと思って。」
 顔を伏せるように、視線を髪飾りに固定する。
「・・・なんとなく買ってしまったので・・・どうやって渡すかまでは、考えていなかったんです。」
 祭り当日に渡せば良かったのだろうが、今更そんなことを思っても遅い。
「・・・いきなり、こんな物貰ってもびっくりするだけだろうし・・・」
 とつとつと、そんな風に言葉を紡ぐ顔はまだ赤い。


アルファン

 たまらずに笑い出してしばらく止まないが、あまりに動揺した様子を見て、少し申し訳なくなったようだ。

リューイ<

 うふふ、と笑う。
「女性には、取り分け魔女には色々な手段がありますから。目も耳も、殿方より鋭いのですよ」
 先ほどと同じ、悪戯めかした表情をして、
「もちろん、ノーイには内緒にしていますよ。
 なんだか、渡しあぐねていらっしゃるようでしたので、何かお手伝いできることがあればと思ったのです。……いらないお世話でした?」


リューイ

「ありがとう」とアルダーに声をかけ、彼が厨房へ行くのを目で追った。
 手のひらで茶器を包むようにして、しばらくその温かさを楽しんだ。

ジレ<

 ねぼすけ、という言葉に軽く苦笑を浮かべた。
「・・・昨日は疲れていたから、と、一応、言い訳をさせてもらおうかな。」
 小声でそんなふうに返す。

アルファン<

「じゃあ、体調の方は大丈夫なんですね。」
 散歩に行っている、と言う言葉に表情を和ませる。
「あなたの屋敷に行く前は本当に辛そうだったから、少し心配していたんです。
 元気になったのなら良かった。」
 言いながら、お茶を口に含んだ。
 そんな時、「そこに仕舞っている髪飾り・・・」という言葉をかけられる。
「・・・っ!?」
 瞬間、ひっくり返しそうになった茶器を慌てて持ち直す。
 大きく目を見開いて、呆然としたような顔でアルファンを見た。
「――なん、で、知って・・・?」
 かすれた声をなんとか紡ぎだす。
「・・・あの、聖竜祭の時に見つけて・・・ノーイ、に、どうかと・・・」
 なんとなくアルファンを見ていられずに、視線を落とす。
 耳が熱をもったように、ほてっていた。


アルファン

リューイ<

「いい陽気ですね。一日の中で、私が好きなのは夕暮れ時なのですが、こういう朝も気持ちがいいですね」
 にこりとして、テーブルの上の朝食を示す。
「どうぞ、ご遠慮なく。
 ノーイは、ラニと一緒に散歩に行きました。もうそろそろ、帰ってくる頃です。リューイに挨拶してからでないと、と言っていましたから、大丈夫。勝手に修行には出かけないと思います。
 ところで――」
 顔を傾かせ、意味ありげにほほえみ、そして悪戯っぽく、リューイの懐を見た。
「リューイがこの間からそこに仕舞っていらっしゃる髪飾りは、いったい、どんな幸運な女性に差し上げるのですか?」
 そこには、聖竜祭の時にリューイが町のバザーで買った、星と月と太陽の意匠が施された、金の髪飾りが仕舞われている。


GM

 リューイの台詞が聞こえたか、宿の主人のアルダーが、件の朝食を運んできた。
「おはようございます。よろしければ、お茶もどうぞ」
 お茶を注ぐアルダーの姿を、アルファンの膝の上のジレが、片目だけを開けて見つめている。
 彼が厨房に戻って行くのを確認すると、ジレも口を開いた。
「リューイはねぼすけさ。ジレは三時間も前に起きてたのに」
 憎まれ口を叩くと、前足でくるりと顔を洗った。


リューイ

アルファン<

 まぶしそうに目を細め、アルファンを見つめる。
 彼女の膝に乗ったジレに視線を移すと、微かな笑みを口元に浮かべた。
「・・・おはようございます、アルファン。おはようジレ。
 とてもいい天気になりましたね。」
二人の座る座席の方へ向かうと、その向かいの椅子に腰を下ろした。
「美味しそうですね。僕もいただこうかな。」
 実はお腹が空いているんです、と、軽口めいた口調で付け足す。
 視線を動かして部屋の中を見渡すと、小さく首を傾げるようにしてアルファンに戻す。
「・・・ノーイは、まだ部屋の方に?
 それとも、もうでかけてしまったのですか?」


アルファン

 白い衣をまとった魔女は座席に腰を掛け、膝の上にジレを載せながら、何かの巻物を広げていた。見たところ、 ノーイとラニの姿はない。

リューイ<

「おはようございます」
 顔を向け、にこりと微笑む。
「パンとチーズで良ければ、朝食があるそうですよ。私はもう頂きましたけれど、リューイもいかがですか?」


GM

 リューイが降りてきたとき、そこには既にアルファンの姿がある。
「おはようございます」
 白い衣をまとった魔女は座席に腰を掛け、膝の上にジレを載せながら、何かの巻物を広げていた。


リューイ

 柔らかな光が、空の色を明るく変えていく。
 輝くような青い空。
 早朝特有の、爽やかな風。
 リューイは窓を開け、それを胸いっぱいに吸い込んだ。
「――きれいな空だ。」
 いい天気になりそうだなと、そう思う。

 身支度をすませ、寝台を簡単に整えると階下へ下りていく。


GM

 リューイは、そのまま眠りについた。
 ノーイとアルファンは、しばらく、これからのことについて話し合っていたようだった、少しばかり、簡単な魔術の講義もしていたようでもある。
 途中で目を覚ますこともあるかも知れないが、何事もなければ、そのまま朝が来る。
 おそらく、空はよく晴れていて、そして、心地よい風が吹いていることだろう。


リューイ

ノーイ・アルファン<

「うん。それじゃあ、また後で。」
 部屋へと入っていく二人を見送った後、自分に割り振られた部屋に入る。

 荷物を適当なところへ置くと、軽く息を吐いて寝台へ寝転がった。
 忘れるようにしていた疲労が、いっきに押し寄せてきたように感じられた。
 片腕を顔を覆うようにして乗せる。
 父上、伯母上、と。ここにはいない家族を呼ぶように、唇が動いた。
「・・・もしかしたら、僕は」
 変われるのかもしれません。
 小さく呟かれたその声は、祈りのような響きがあった。


ノーイ

リューイ<

「そうですね」
 アルファンとリューイが話していたことを思い返し、頷く。
「では、また。とりあえずは、わたしはお湯を使いたいですね」
 笑うと、リューイに手を振った。
 アルファンを伴って、部屋に入っていく。
「リューイも、ごゆっくり」


アルダー

リューイ<

「いえいえ、こちらこそ、回りくどいことを申し上げました」
 頭を下げる。
「それでは、失礼をさせて頂きます。それでは、ごゆっくり。何かあれば、なんでもお申し付け下さい」
 いうと、その場を辞した。


リューイ

アルダー<

 早口でのべられた言葉を、瞬きもせずに聞いている。
 自分が不躾なことを言ったわけではないらしい、と思い、
「・・・ありがとうございます。」
 ようやく、ほっとしたように表情をゆるめた。

ノーイ<

「そう?それじゃあ、僕は西側の部屋で。
 お言葉に甘えて、ゆっくり寝させてもらおうかな。」
 久しぶりの寝台だし、と微笑む。
 これからどうする、という言葉に、軽く首を傾げた。
「・・・そうだね。いろいろ考えてはいるんだけど・・・調べたいこともあるし。」

アルファン<

 柔らかい表情のまま、小さく頷いた。
「何をするにしても、体が資本ですからね。
 でも、移動していたのは同じなんだから、アルファンたちも疲れがたまっているでしょう?
 ふたりとも、ゆっくり休んでくださいね。」


アルファン

リューイ<

 ノーイの台詞に続けて、
「何をするにしても、今日は、ゆっくりと休んでくださいな。
 旅続き、戦い、また旅、と、リューイもお疲れでしょう」


ノーイ

 右、左と扉を見て、それから、リューイの台詞を考える。

リューイ<

「だったら、わたしは東側に」
 言って、リューイの目を見る。
「わたしは、魔法の勉強をしなくてはいけないから。
 リューイは、朝はゆっくり休んでください」
 冗談交じりの笑顔で返す。
「これから三ヶ月、しっかりと勉強します。
 リューイは、どうしますか?」


アルダー

リューイ<

「いえいえいえ」
 慌てた様子で手を振る。
 ようやくここへ来て、相手にしている少年が、本当に生真面目な性格の持ち主なのだと分かったようだった。
「そういうことではございませんよ。提示した料金をまけさせて頂いたのは、たんに、そうですね……お客様方が、その辺りの方よりも綺麗に部屋を使ってくださるようにお見受けしたからですし、別段、損をしているわけではないのです。
 ですから、気を遣ってくださらなくてもよろしいですよ、と、まあ、そういうようなわけでございます。
 それで、先ほどのは冗談というものでして、薪割りを手伝ってくださったら、それはもちろん私どもとしても非常にありがたいことではございますが、くつろいで頂くべきお客様に仕事をさせるなど、するわけにはいかないという理由で、ご遠慮した訳でございます。はい」
 行き違いを正そうと、早口で述べる。


リューイ

アルダー<

「村の宿場とは・・・」という言葉から、城下の宿では、どうもこういうことはしないらしいと検討をつける。
 余計なことを言ってしまったらしい。
「――そうですか?
 確かに、僕がうろうろしていては、仕事のお邪魔になるかもしれませんが・・・」
 申し訳ありません余計なことを、と、呟く声には、いくらか元気がなかった。
 僅かに伏せられた明るい色合いの瞳は、どうすれば主人の厚意に応えられるだろうかと考えているように揺れている。

アルファン・ノーイ<

 こざっぱりと整った様子を見て、綺麗な宿だなと素直に思う。
 しめされた扉を見た後、女性陣の方へと視線を向けた。
「僕はどちらでもかまわないよ。二人のご希望は?
 ・・・早起きを目指すなら東側、ゆっくり眠りたいなら西側の部屋、かな?」
 少し軽口めいた口調でそんなことを言う。


GM

 宿の中はこざっぱりとしていて、手入れが行き届いているのが目に見えるほどだった。といっても、あまり冒険者らしい(つまり、みすぼらしくて汚らしい)生活をしていたわけではないリューイのことだから、あまり違いは分からなかったかも知れないが。
 建材や置物も高級な品ではないものの、しっかりとした造りだ。
「こちらの向かい合わせのお部屋にどうぞ」
 アルダーが案内したのは、二階の廊下を突き当たるまで進んだところだった。壁には綴れ織りが掛かっていた。その綴れ織りを挟んで、二つの扉がある。
「こちらが東で」
 と、右側を示し、
「こちらが西です」
 反対側を示す。
「寝台の数は変わりませんので、お好きになさってください」


アルファン

 物珍しそうに調度品などを眺めているノーイをちらりとみて、リューイの問いかけに答える。

リューイ<

 くすりと笑い、
「多分、本来の相場があれくらいだったのだと思いますよ。
 市井では、売る方は最初から値段を多めに提示して、買う方はそれをなるべく安くする方へ持ちかけていくものなのです。宿の主人もそうやっていくつもりだったのに、リューイさんがそのまま受け入れたから、少し驚いたのではないでしょうか」
 リューイの人の良さそうなところにつけ込むのが気が引けたのだろうという推測は黙っておくことにした。


アルダー

リューイ<

「いえ」
 相手が冗談を言っているのかと考え、同じような生真面目な顔で応じる。
「お客様にそういった雑務をさせるわけには参りません。そこいらの村の宿場とは違いますから」
 それから、陽気に笑って、引き続き部屋に案内をする。


リューイ

アルダー<

「ちょっと負けておきましょう」という言葉に、不思議そうに2度3度と瞬きを繰り返す。
「・・・ありがとうございます。
 僕はリューイといいます。どうぞ、よろしくお願いします。」
 再度頭を下げると、
「――ご好意に甘えてばかりでは申し訳ないので・・・何か手伝えることがあれば仰って下さい。
 こう見えても頑丈にできているので、力仕事なら少しはお役にたてるかと思います。」
 薪割りとか荷物運びとか、と、真面目な顔をして付け加えた。

アルファン&ノーイ<

 前を歩くアルダーについて歩を進めながら、小さく首を傾げている。
「・・・そんなに、路銀に困っているように見えたのかな・・・?」
 それほどみすぼらしい格好をしているだろうか、と、困惑したように問いかけた。
 もちろん、先を歩く主には聞こえないように声を潜めて。


宿の主人

リューイ<

「ええ、こちらこそお願いいたします」
 値段の交渉を何もされなかったことに少なからず意表をつかれつつ、胸中で慌てながらお辞儀を返す。冒険者というものは大抵が世慣れしていて、かつ、不作法なものなのだと思っていた認識を改めて、
「そうですね、先ほどは宿泊費を合金貨七枚と申し上げましたけれども、ちょっと負けておきましょう。合金貨五枚、いただいておきます。よろしいですか?」
 そんなことを言った。
「わたしは、この宿の主人でアルダーと申します。どうぞ、ごひいきのほどお願いします。
 では、とりあえず、お部屋にご案内致しましょう。それから、台帳にご記入を。あとは、ご自由になさって結構です」

 それから、馬丁を呼んでオニキスの面倒を言いつけると、先に立って歩き出した。
「どうぞ、こちらへ。お部屋は二階の奥の部屋です」


リューイ

宿の男性<

「もちろんです。こちらにご迷惑をかけるようなことはしません。」
 宿に何か損害が出たら、という言葉に頷いて応える。
 その後で、表情を微かにに柔らかいものへと変える。
 宿が決まったせいか、今まで忘れていた疲れを自覚する。
 連れの女性達に気付かれないよう息を吐くと、
「・・・それでは、よろしくお願いします。」
 そう言って、宿の主人に軽く頭を下げた。


宿の男性

リューイ<

「畏まりました」
 頷く。
 動物たちについては、
「では、まあ、構いませんよ。
 ですが、もしも何か部屋に損害が出た場合は、保障をしてくださいね。私どもの大切な商売道具でございますから。
 さて。では、そうですね。ギルドからの紹介とのことですし、二部屋で一泊、合金貨7枚(70Rd)でよろしいでしょうか?」
(移動中などではない宿泊費や生活費に関しては、演出上だけでの支払いになります。リューイさんたちの財布の中からは引かれませんので、ご安心下さい(笑))


アルファン

リューイ<

「そうですね。物知りかどうかはさておいて、私たちの生命力は、すべて好奇心や知識欲から生じているような気もいたします」
 にこりとする。
「そういった、『楽しそう』という想像だって、魔術師には重要な能力の一つなのですよ。あらゆる魔法は、そんな遊び心から生まれているのではないかとさえ、思います。何かをしてみたいと思った、意欲が、魔法を象るのですから」
 それから、自分の使い魔を見て、リューイを見た。そして、こっそりと耳打ちする。
「大丈夫ですよ。ジレは、爪切りでないと嫌がるのです。爪研ぎは野蛮な猫のすることなのですって」

宿の主人<

 リューイの視線を受けて、ノーイと素振りで確認しあってから、代わりに答える。
「はい、二つでお願いします」


リューイ

アルファン<

 学術めいた言葉に、感心したように軽く目を見張る。
「魔術師とか魔法使いと呼ばれる人たちに物知りが多いのが、 わかるような気がします。
 そんなふうに、興味を抱いたことを追求していくんでしょうね。」
 そう言って、「こちらのほうが自由にはばたける」と言われた看板の絵を見直し、ちらりと笑う。
「僕なんかだと、羽があるというのはとても楽しいだろうなと思うくらいで。
 水中だろうと空中だろうと、どこまでもいけるというのは気持ち良さそうだ。」

男性<

「馬は一頭だけです。表につないであるので、よろしくお願いします。
 ・・・部屋は、二つ・・・で、いいのかな。」
 そういえば聞いていなかった、と、女性陣の方を見て目で確認をする。
 男性の視線を辿り、彼女達の連れている生き物達を見た。
 爪研ぎという言葉に目を丸くし、少し面白そうな表情を浮かべながら首を振った。
「それは大丈夫だと思います、彼らはとても賢いから・・・」
 使い魔という生き物をあまり詳しくは知らないが、たぶん平気だろう。
 そんなふうに思いながら、相手の笑顔につられて小さく笑った。


宿の男性

 三人の顔をぐるりと見てから、頷く。

リューイ<

「空いておりますよ。裏には厩舎もございます。馬のお世話は一頭までならご奉仕させて頂きましょう。
 夕食付きで、一泊で……お部屋は幾つ必要ですか?」
 訊ねてから、ちろりと、ノーイとアルファンの連れている生き物を見る。
「犬と猫は、一匹銅貨一枚でよいですよ。爪研ぎなどがなければ、お食事もサービス致しましょう」
 といって、にこりと人好きのする笑みを浮かべる。


アルファン

リューイ<

「そういえば、水の中を泳ぐのは空を飛ぶのにも似ていますけれど、魚の翼は鋭くて硬く、鳥は柔らかくて軽いですね。あら、面白い対比かもしれませんね。水は重たくて、空気は軽いですし、関係があるのかも知れませんね」
 なにやら学術めいたことをいってから、口元に手を当てる。
「いけませんね、私は面白い研究対象を見付けると止まらなくなってしまうのです」


リューイ

アルファン<

「・・・これが、『跳ね魚』ですか?」
 へえ、と、どこか楽しそうに呟きながら、地面に描かれた絵を見ている。
「――確かに、空を飛ぶには向かないように見えますね。 
 やっぱり、水の中の生活には、鳥のような翼は難しいのかな。」
 情景を思い浮かべているのか、口元が僅かにほころんだ。

ノーイ<

「そうだね。ギルドの紹介なんだから、おかしな所のはずはないか。」
 瞳を眇めるようにして、ノーイの言葉に頷く。

男性<

 軽く頭を下げ、男性の方へ近づく。
「こんにちは。あの・・・ギルドの方で、こちらの宿を教えて頂いたのですが・・・」
 実直そうなその顔を見つめ、「食事か、泊まりか」という問いに答える。
「宿泊したいと思っているんですが、部屋は空いているでしょうか?」


GM

 リューイを先頭に、三人は宿の中へと入っていく。
「どうも、いらっしゃい」
 そこそこ広めの室内は食堂も兼ねているらしい。幾つもの丸テーブルに小さな腰掛けが並んでいる。奥まった場所に厨房があり、給仕に使うだけのカウンターが備えられている。声はその厨房から投げられてきた。
 部屋の中は清潔で、酒場に見られるような汚れなどはあんまりない。気を遣って、掃除を欠かしていないのだろう。
 程なく、中から、前掛けをした男性が出てくる。
 三十代過ぎほどの人間で、実直そうな顔をしている。
「お食事ですか、それともお泊まりで?」


ノーイ

リューイ<

「わたしは笑ったりなんて、しませんよ」
 わざとらしい素振りで微笑む。
 それから、本当に笑った。
「きっと、大丈夫。あのギルドの方も悪い評判はなかったっていっていたものだし。リューイも疲れているだろうから、ゆっくりと休みましょう」


アルファン

リューイ<

「そうですね」
 本当は違い形という問いに答える。
 手にしていた棒状で地面を削り、簡単な図画を描いてみせる。よく見るような魚に、冗談のような幅広のえらが付いている。
「大体、こんな姿をした生き物なのですよ。あんまり翼らしい翼を持っているわけではないのですね。ですから、そうですね……」
 穏やかな顔で、リューイを見る。
「本当の飛び魚は、どこにでも行けるわけではないですから。
 この魚の方が、自由に羽ばたけるでしょうね」


リューイ

アルファン<

 描かれた魚を見上げていたが、耳に入ってきた言葉に視線を動かす。
「・・・想像・・・ということは、本物は違う形なんですか?」
 興味津々といった風な、飴色の瞳が微笑するアルファンに向けられた。
「・・・僕は見たことがないけれど・・・こんな翼があるのなら、どんなに気持ちがいいだろうとは思いますね。
 海でも空でも、ずっと遠くまで自由に行けそうな気がする。」
 少しうらやましいですね、と、どこか楽しそうな顔でそんなことを言う。

ノーイ<

 かちゃかちゃという音に、少し耳を傾けた後、ノーイに笑いかける。
「・・・じゃあ、入ってみようか?
 良い所だといいな。勘が外れて、誰かに笑われるのは困るし・・・」
 ギルドで言われたことを思い出し、冗談めかしてそんな風に言った。
 入り口へと歩を進めると、扉を開ける。


アルファン

 リューイと並んで宿屋の看板を見ているノーイの後ろで、首を傾げている。

リューイ<

「飛び魚ではなくて、跳ね魚というから不思議だとは思っていたのですけれど」
 看板をしげしげと見ながら、おかしがるような、独り言めいた声でいう。
「飛び魚について聞いた画家が、そのものも知らずに想像で描いたものなのでしょうね」
 くすりと笑った。


GM

 リューイが見付けたのは、特徴的な顔立ちの大きな魚(これはナマズと言っただろうか?)が、鷲のようなこれもまた大きな翼を羽ばたかせた姿を描いた看板だった。どうやら、これが跳ね魚というものらしい。
 中から、かちゃかちゃという、例えばグラスや皿の洗い物をしているような音が聞こえてくる。


リューイ

「・・・ここ、かな?」
 厨房につながっていると思われる、出入り口を軽く覗き込むようにして呟いた。
 裏口から入ったら駄目だろうな、と考えながら視線をめぐらす。
 入り口に通じるであろう道を認め、同行者たちを振り返った。

ノーイ&アルファン<

「この向こう側が入り口みたいだよ。
 行ってみよう。」
 声をかけ、オニキスの手綱を軽く引きながら通りへ出る。
宿の名をあらわすかのような、特徴的な看板を見つけると僅かに顔をほころばせた。


GM

 リューイたちがギルド員のジョセフから紹介された宿屋は、ギルドの裏、小さな路地を挟んで向かい側に、こちらに背を向けて立っていた。従業員用の、どうやら厨房につながっているらしい裏口が見える。
 建材の感じからすると、まだそんなには年を取っていないようだ。そして、宿屋の名前はともかく、建物は少なくとも青くはなかった。
 宿屋の表に出るなら、すぐに右手側に、宿屋の入り口があるであろう通りにつながる道が見える。