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〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

神聖王国ミノッツ
騎士王国シルヴァードと領土を面した国家。
国土を治めるのは国王であり教皇であるパルマ四世。

:神聖王国 魔術師の庵:
 神聖王国の王都の一角、学徒の塔の近隣にある、魔術師オウルの庵。
 魔術師オウルはエルフの老人であり、小さな木造の家に住んでいる。
 家の裏手には林があり、オウルの持ち物として知られている。

投稿(件名…神聖王国 魔術師の庵)
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GM

 リューイは宿に戻っていく。


ノーイ

リューイ<

「はい、いい子にしています。――それじゃあ」
 にこりとして、庵の中に入っていく。


ラニ

リューイ<

 近づいてきた顔に鼻を寄せて一つ舐めると、自分は何でも知ってますよ、というような目で見返して、耳をぴくりと動かし、しっぽを振る。


リューイ

リューイ<

「――うん、それじゃあ・・・頑張って。」
 小さく笑みを浮かべて、一歩前へ出るノーイを見つめた。
「僕は大丈夫だよ。こう見えても頑丈にできているんだから。
 ・・・ノーイも、師匠を困らせないようにね。」
 軽口めいた口調でそう付け加えると、ラニの頭を撫でる。
 小さな円い目を覗き込んで話しかけた。
「ラニ、ノーイを頼んだよ。」
 そんな風に言ってラニと手を振る素振りをするノーイに微笑み返し、小さく手を振り返した。


ノーイ

リューイ<

「ありがとう」
 素直に頷いて、笑う。
 思いついたからかいの言葉は仕舞っておくことにする。
「リューイは謙虚ですよ。たぶん、自分が思っているよりずっと」
 そうしてから、目的の庵に気が付く。
 一歩、先へ進んで、振り返る。
「それじゃあ、リューイ。しばらく、別行動ですね。
 わたしは、がんばります。
 リューイは……気を付けて。何かあったら、この子を送ります」
 ラニを腕に抱え、前足で「ばいばい」としてみせる。


リューイ

ノーイ<

 大きく目を見開いて、ノーイを見つめ返す。
 何を言われたんだろう、何かすごいことを言われたような気がする。
 頭の中をぐるぐると言葉が回って・・・ようやく、どうも現実に言われた言葉らしいと理解したとたん、リューイの顔に朱が上った。
「・・・えぇと、あの。・・・僕はそんな・・・すごい人間じゃ・・・」
 真っ赤に染まった顔の下半分を手で覆うようにして、視線を泳がせる。
 何も言えないまま、しばらく歩みを続けて・・・目の前に見えてきた石造りの家に気付く。
 これからしばらくはノーイに会えないのだということを思い出し、そこでようやく、リューイは少し自分を取り戻した。
「――僕は、きっと君が思ってくれているより、ずっと弱い人間だけど・・・。」
 自分でも意外なほど、穏やかな笑顔でノーイを見ることができた。
「だけど、君のことは守りたいと思っている・・・そういう存在になれたらと思う。
 まだ、僕では役不足だとはわかっているけど・・・」
「いつかは」と、照れたように微笑んだ。


GM

 会話をしながら歩いている二人の前に、古ぼけた石造りの家が見えてくる。特徴的な石組みの建造物は、事前に二人が聞いていた魔術師の庵に間違いがないだろう。
 その家の後ろには木が立ち並び、ちょっとした林へとつながっている。


ノーイ

リューイ<

「もちろん、喜んでください。
 ……でも、冗談です」
 再度、笑う。
「わたしは何年もリューイに守られていたように思うから。守られているだけじゃなくて、力になりたいと思うんです。
 おかしいでしょう?
 本当は、わたしはあなたと会って、何年も何も、1年どころか、ひと月程しか経っていないのに。
 でも、わたしはリューイがまるで自分の為にいてくれる騎士様のように感じます。まるで兄のように。……恋人のように」
 そうして、また、嬉しそうに笑う。
「守れたらいいなあ、とも思うんですけど。きっと、それは難しいし。リューイはわたしよりもずっと強いから。
 だから、やっぱり、守ってくれたら嬉しいです。
 よろしくお願いします。リューイ」


リューイ

ノーイ<

「朝から夜まで勉強・・・それは充分過酷に聴こえるけれど。」
 苦笑めいたものを口元にひらめかせると、ノーイを見つめた。
「・・・守れる、って・・・そこは僕は喜ぶところなのかな・・・」
 どちらかというと、それは自分が目指す立場ではないのだろうか。
 笑い声をあげるノーイを見て、少し複雑そうに眉をよせる。
「・・・じゃあ、僕も負けないように頑張ります。
 守られるばかりじゃあ、情けないから。」
 小さくため息をついた後、そんな風に言って微笑を返した。


ノーイ

 丁寧に梳いた髪を風が柔らかく撫で上げていく。
 
リューイ<

「どういうことをするのでしょうね」
 問われて、首をかしげる。
「母さんにもあまり教わってはいないから。ただ、『今は何となくで理解しているものを他人に説明できるようにする』らしいです。魔術は理論で動いているから、理論を一から覚えて、それが済んだら理論通りに魔力を働かせられるか、体で覚える――って。ほとんど、朝から夜まで勉強だそうですよ」
 にこりとする。遠い目をしたリューイに、少しばかり不思議そうな目を向けてみたり。
「でも、大丈夫。他にできることもないから、がんばります。
 過酷、でもないそうですよ。わたしは、母さんの“娘”ですから。普通の人よりも格段に楽に勉強できるはずなんだそうです。
 早く一人前になって、リューイを守れるようにならないと」
 悪戯っぽくいうと、明るく笑い出す。


リューイ

ノーイ<

 青い空を眩しげに見上げ、淡い色合いの目を眇める。
 柔らかな風がノーイの髪や、行きつ戻りつしているラニの毛を揺らすのをなんとなく見ながら、口を開いた。
「・・・今更だけれど、魔術師の修行とはどういうことをするの?」
 魔術とは今まであまり縁がなくて、と首を傾げていた。
 自分が騎士見習いだったころを思い出す。
 武術の鍛錬の他、馬術や戦術、礼儀作法というものを学んだものだが。
(・・・文字通り『叩き込まれた』けど・・・)
 僅かに遠い目をしたあと、ノーイに視線を戻した。
「体調管理だけは気をつけて。どんな修行だってやっぱり体が資本だと思うから。」
 めずらしく、やや強い口調でそんな風に言った。


GM

 その家は、青い跳ね魚亭から少し離れた場所にある。
 今、空は明るく晴れ、さわやかな光を注いでいる。
 風は心地よく、まるで春めいた陽気である。
 リューイとノーイの間を、翼のある犬が行きつ戻りつして歩いている。