PBeM
〜Dragon Pursurs〜
竜追い達の唄

旧サイーディア帝国
騎士王国シルヴァードの北部に位置する“旧き大陸の支配者”。
バーナード地方全土を包み込んだような戦火は二つ。
そのうちの一つが、シルヴァードとサイーディア帝国の戦であった。
戦の末、騎士王国シルヴァードが大陸の覇者となり、帝国は本拠地の都だけを残して縮小されたのである。

:旧帝国 竜追いギルド:
 聖大森林への探索に向かう冒険者たちがまず立ち寄り、情報を集める場所である。
 ここのギルドの意向は聖大森林の最奥、竜伏の大洞窟の制覇にある。
 なぜなら、その聖地を魔物どもの勝手にさせてはならないからだ。
 また、創造竜に関する何かの情報はあるだろうと考えられるからでもある。
 そのような理由で、このギルドの常連たちは皆、修練を積んだ屈強な冒険者たちばかりである。

 ちょっとしたお酒を楽しめる。
 それが、このギルドの特徴だった。
 酒場や宿屋としての機能を持つ竜追いギルドというのは割合多く、南方の騎士王国の鷲の止まり木亭を筆頭に、何軒ものギルドがそのような形式を持っている。
 このギルドの場合、商売として酒を扱っている訳ではないところが特別であった。
 仕事を終えた冒険者に、報酬と共に一杯だけ振る舞う。それだけだが、たいていの冒険者が、その小さな気遣いを殊の外、気に入っていた。

 ギルドマスターの名はハーゲン。
 無口ではないが表情は静かで、自分のことは全然喋らない。
 ミミズクの獣人で、少なくとも熟練の狩人であるらしい。いつの頃からかこの街に住み着いて、いつの頃からかギルドを営むようになった。言動や所作から、狩人としての物以外にも何かしらの体術の達人であることは知れるが、それ以外はほとんど分からない、謎の人物である。
 この不思議な男性は、本当に様々な理由で問題児揃いの冒険者の人望を勝ち得ていた。

投稿(件名…旧帝国 竜追いギルド)
戻る
ギルド張り紙




シュラ

 オットーの腕に手を掛けながら、涼しげな表情でルッカを見ている。自分を紹介されたところで、軽く微笑んで見せた。

ルッカ<

「綺麗な……ていうのには、異論があるかもしれないけどね」



オットー

ルッカ<

 ルッカの背中を叩いて、笑う。
「別におれたちは偉人なんかじゃないんだから、緊張なんてしなくていいさ。
 ……おれはオットー・ハウガンで、こっちの綺麗なのがシュラ・スー。どっちも、狩人みたいなもんだな。
 きみは?」


ルッカ

オットー<

「いえ、俺の方からこの依頼を請けたいって‥マスターに頼みました。
 だから無理言われたとか、そんなんじゃ無いです‥」
 赤毛の青年、オットーにしてみれば冗談半分の軽口だったのだろうに――緊張のためかやや強張った表情まま、そう答える。


GM

 ハーゲンの呼びかけに、掲示板の前にいた二人が応じ、こちらにやってくる。
 男女の組み合わせで、三十絡みの男の方は赤毛で、背中に大きなクロスボウを背負っており、また、やや細身の長斧をぶら下げている。どちらかといえば穏やかそうな童顔だが、肉体の方は不似合いに引き締まっている。
 女の方は弦を外した弓と小さな棒状を腰にくくりつけており、ルッカには分かったが、かの森人のものと知れた。年齢は分からない。二十代半ばから三十半ばといったところだろうか。濃緑の髪をしていて、だからというわけではないが「森の匂い」とでもいうようなものを漂わせた女性であった。

 男の方――オットーがにやりとして、ルッカに声を掛ける。
「実入りのいい仕事じゃないかも知れないがいいのかい、青年。マスターに無理を言われたんじゃないよな?」


マスター・ハーゲン

ルッカ<

 何やら真剣そうな顔を見て、一つうなずく。
「よし、少し待っていろ」
 言うや、声を上げる。
「オットー、シュラ!
 相棒だ、こっちへ来い」


ルッカ

 ハーゲンの言葉を頭の中で繰り返す。

――旅の中で多くの人と交わり、見聞を広げることは、必ずや己を高めることに繋がるだろう――
 任務出立にあたって国王陛下に頂いた言葉が思い出される。
 だが旅にでてこのかた、簡単な護衛の仕事などはあったが、他の冒険者と組んでの大掛かりな依頼というのは経験したことが無い。 これは良い機会かもしれない――

ハーゲン<

「その依頼請けます、いや・・・俺にも是非請けさせて下さい。」 決意を秘めた瞳で見返し、そう答える。


マスター・ハーゲン

ルッカ<

 人差し指を顎に当てて考える。
「では、あれをやってみるか」
 と、張り紙を指さす。
「聖大森林の調査だ。
 既に、ある程度のグループができたから先に派遣したが、まだ追いつきもできるだろうし……そいつら――先客だった二人連れを示す――もそっちに行くらしいからな。組んでの仕事ができないわけでもあるまい?」


ルッカ

 逆に求める仕事の内容を問われ、少しの間押し黙ったあと口を開く。

ハーゲン<

「俺・・山の中で狩人の真似事をして育ちました。
 だから山とか森での仕事なら、少しはやれると思います‥」


マスター・ハーゲン

ルッカ<

「どんな仕事がしたい?
 依頼はあそこに載せてあるが……」
 張り紙がされている掲示板を指さし、
「一人ではあそこにあるものの大部分は、危険かも知れないな。こういったものが良い、という要望があれば、探そう」


ルッカ

 白髪の男性の瞳に促されるように椅子から立ち上がる。
「お邪魔してますマスター・・・、あの、俺ルッカって言います。
 よろしく・・」
 一旦言葉を切って頭を下げる。
「仕事を探してここにきたんですが、何かありませんか・・?」


GM

 ルッカが腰をおろした、すぐ後に、白髪の人物と話していた女性はそれを終え、ギルドを出て行く。
 白髪の人物は、ひとつ息を吐くと、ちらと、先ほど入ってきたルッカに目をやる。
「用があるんじゃないか?」
 そう訊いているかのようだった。


ルッカ

 扉を開けて薄暗い店内を見回すと数人の男女の姿がみえる。
<マスターは・・あの人だろうか?>
 雰囲気から察するに、女性と談話しているあの白髪の男性がそうだろうか。
<とりこみ中のようだし、少し待ったほうがいいかな・・・>
 オーサンが店の中に入ると支えていた手を離して扉を閉め、店内へ。 途中、席の横を通り抜けた二人組みに軽く頭を下げて空いている椅子へ腰をおろす。


GM

 ギルドの中には数人の冒険者の姿があった。
 次に受ける仕事について相談している二人連れ、今果たしてきた依頼について話しながらグラスの一杯を空けている戦士風の女性、その報告に頷きを返している大柄な白髪の男性。
 店内はやや薄暗いが、まるで祭りの準備をしているような、それとも嵐が来る直前のような、何か心を沸き立たせる雰囲気で満ちていた。