王都の外れに位置する、一般市民たちの共同墓地。 現在は閉鎖されている。 戦の度にその墓石の数を増やしていた大規模な墓地。 死に切れない死者の亡霊やそれを餌によって来る屍者たち、さらにそれを狩りに高度な死神も現れることさえあった危険な場所である。閉鎖されている理由もそれであり、剣王ハルッサムの頭を痛めさせている。 王家で設立した巡視隊が定期的に巡り、死霊を退治して廻っている。 |
墓守ギュンター |
「やれやれ、どっこいしょ、と」 日課の『掃除』を終えて墓地の外れの家に帰り着き、難儀そうに椅子に腰をおろす。 日の落かけてきた夕闇の外には、早々と霊魂が舞っている。 まだこの時刻では何の力も持たない死霊達だけだが、あと一刻もすれば屍者達の徘徊する、魔境となる。 ギュンターは、聖水と灰を用いて、魔術紋を家の入り口すべてに記した。 「毎日毎日、面倒じゃわ。 やれやれ、早いとこ、 腕も立ち、出来れば魔術と武術に長けた奴を見つけなきゃいかんなぁ。 聖水が切れる度に清水を捜しに行かなきゃならんのは、いい加減、骨が折れる……」 |