−世界観−

 この世界の世界観に属する部分のあれこれについて、つれづれと書いてあるコンテンツです。
 この世界について理解するためには、重要な部分かも知れません。
 ですが、プレイするために必要な部分は、基本的に「この世界について」を読んで頂ければある程度は分かるようになっていますので、「そんな暇はない」という方は、戻って頂いても大丈夫です。
 GMの自己満足のために書いているような所でもありますから(苦笑)



世界のイメージ

 最初に、「世界全体図」にある世界地図の記憶を放棄して下さい。
 あちらの地図は、「ラームナードの住人たちが曖昧にイメージしている世界を地図にしたもの」とでもいえる、全く、不正確なものなのです。

 では、まず、一つの島に、一面に森と山が敷き詰められているのを想像して下さい。
 次は、森の中に、転々と空き地を作って下さい。大きな絨毯にある虫食い程度のものです。
 その空き地の中に城や、町を建てて下さい。
 その上で、森の木々を引っこ抜いて、荒野を配置していきます。
 荒野と、森と、山々ばかりがあり、草原やただの平地はほとんどない。
 それが、この世界の状態です。

 現実世界ならば、九〜十世紀のヨーロッパあたりの時代であるといえます。
 人が住む場所は開けていますが、そこを出ればすぐに、森ばかりになっています。
 そうでない場所は荒野になっていたり、どちらにしても、安全な場所ではありません。
(例外的に、バーナード地方には肥沃な平野地帯が多く存在するため、高い発展を遂げています。
 逆に言えば、そのような自然的な条件が先に整っていない限り、なかなか発展できないということになります)
 そして、そのような場所に、魔物は生息しているのです。
 魔物だけではありません。人族が徒党を組んで、商人や旅人を狙っていることもあります。
 安全な世界とは、とてもいえません。
シノン街道〜旅人のあれこれ〜

 シノン街道というものがあります。
 神聖王国から発し、騎士王国の王都、大魔術師王国の王都を通り、商人の国まで続く大きな道です。
 はじめは、大魔術師王国のとある賢者・シノンが建設を計画したものです。
 有数の貴族でもあったかれは、若い頃から様々な場所を旅をしていました。その時の不便さに、それをなんとかできないものかと考えたのです。
 そのころ、この世界には、行き来するための公的な道というのはあまりありませんでした。
 ただ、商人たちが国や町を商売をしながら巡る中で自然と、ある程度の順路というのができていきました。
 賢者シノンは、そのような道を基盤にして、街道を造ることにしました。
 莫大な資金を投入して、かれは人員を雇いました。
 それは、様々な苦難を経て、十年がかりで完成したのです。
 私たちが知るようなものとは、もちろん比べものにもなりません。
 まだ、獣道に毛の生えた程度のものでしたが。ですが、重要なのは、「ちゃんとした道がある」という事実なのです。
 ある道筋が決まっていれば、人はそこを通りますし、人が通れば、道というのは発展するものです。
 道というのは、経済の発展に重要な役割を持ちます。できてみてはじめて、多くの人々が、その価値を知りました。
 領主たちは、率先して、その保護・発展に力を注いでいきました。
 はじめは、大魔術師王国と商人の国を結ぶだけの、そして頼りのない道だったものは、次第に長く、太くなっていきました。
 そして、今では、平野を、荒野を、山を、谷を越えて神聖王国ミノッツまで続く、実に5000kmもの長さを持つ大街道となっています。
(すべてに石が敷かれているわけでもありませんし、段差やでこぼこもたくさんありますので、上等な道とはいえませんが、この道を通っているうちは、そうそう迷うことはないでしょう。その点で、立派な街道といえないでしょうか?)

 街道の維持には、資金が必要です。
 馬車が通れば道はへこみますし、へこんだ道は旅人にとって不都合です。
 未整備の部分には石を敷くか、少なくとも砂利を撒かなければなりません。
 こういった資金を集めるために、街道には通行税が掛けられています。
 街道の要所要所には関所が作られており、そこを通る際に所定の料金が必要となります。
 関所は、大体、30〜50km毎に、最低一つは存在します。
 一人の通行者に対して30Rdが目安です。
 小型の動物は10Rd、馬や牛は50Rdが掛かります。
 荷車なども課税の対象となります。その理由は、荷車や荷台の固い車輪は街道を損傷させるから、というものです。
 もちろん、馬車も課税されています。それを引くべき馬の税金に加え、小型の馬車は60Rd、中型は80Rd、大型で100Rdです。
 交易品も課税対象で、食料品、酒類、日用品は、最低でも全体の3パーセントは接収されます。

 現在、竜追いは通行税を免除されているので、安心して下さい。
(ただし、竜追いと見なされない場合もあります。荷馬を何頭も連れていたり、金品をじゃらじゃらさせている方はご注意下さい。あなたはおそらく商人だと思われるでしょう!)

 街道には、宿が造られています。
 それは領主、地主が建設したものの他、自由人が建てたものなど様々です。
 大きな町の近くならば、たいてい、一日に一軒は存在します。
 この宿の規模は、「宿場町」といえるものから、宿が一軒だけしかないとか、様々です。
 少なくとも、食料の補給や寝床の確保には非常に便利な施設であるといえるでしょう。
(ちなみに、食料は一日分が14Rd、宿泊が42Rdと、割高です。
 神聖王国では、竜追い登録をしている旅人は割引され、食料が11Rd、宿泊が33Rdと、通常の値段に近い価格になります)
 規模の大きいものは堅固な防壁を、規模の小さいものでもそれなりの障害物を、宿の周囲に建造するのが常です。
 群盗や魔物に狙われては困りますので、当然の防備だといえるでしょう。

 さて、街道があり、宿場があっても、危険はたくさんあると述べました。
 旅をするということは、そういう危険と折り合いをつけるということです。
 旅をする目的が危険と出会うためとかいう奇特な人種はさておいて、ほとんどの人は危険に遭遇したくはありません。
 では、実際に、この世界の人々はどのようにして、それを避けているのでしょうか。
・集団で行動する
・目立たないように行動する
 とりあえず、このくらいでしょう。
 一つ目は、簡単です。
 旅慣れた商人たちが最初にやっていたことかも知れませんね。目的地を同じくする人たち同士で集まって、賑やかに旅をするのです。
 それだけではヒツジの群れも同然なので、みなでお金を出し合って護衛を雇ったりもするでしょう。一番、単純な方法ですが、確かに安全です。群盗もそれほど怖くはなくなります。
 二つ目は、一つ目とは逆に少人数で、道に迷う危険がないものの目立ちやすい街道沿いを、少し外れた場所を通るというものです。
 この方法をとるのは、冒険者が多いかも知れませんね。
 盗賊などに遭うことは少なくなるでしょうが、今度は、魔物に遭うことが増えるでしょう。当人に野伏の心得があるなら、一番安全な方法といえるかも知れません。
竜追いの成り立ち

 この世界には、冒険者という存在があります。
 多くはならず者……つまり非生産者たちで、物騒なことに武器の扱いに長けています。危険が身近な所をうろうろしていて、その危険から逃れる方法にも熟知しています。こっちが危険に襲われたときには依頼すればなんとかしてくれるかも知れないですが、そうでないときはお近づきにはなりたくない存在です。
 ……とまあ、一般の人たちは、わりとそういう目で冒険者を見ていました。
 それが、少しばかり変わったのが、「去竜暦」になってからです。
 竜がいなくなったことを世界の人々が認知した時……とされていますが、正確には、「諸王が公的にそれを認めた」時ですね。
 創造竜が大陸から姿を消したのは、何となく、世界の人々が感じるところでした。
 風には元気がなく、木々にも力がありません。獣たちもどこか悲しげで、まるで終わることのない冬が訪れているようだったものですから。
 竜追いが生まれたのが、この時です。
 それまでにも、いなくなったと考えられる竜を探し求める人がいなかったわけではありませんが、公的にそれに名前を付け、奨励するようになりました。
 はじめは、マリクト・シノヴァという貴族の若者が個人的に行っていた企画のようなものだったのですが、それが発展し、王家によって承認、引き継がれました。(その時のやり取りが、トップページに書かれている文章で描写されているわけですね。「一人の夢見、王に告げる」のくだりです。あそこに書かれている文章は基本的に、この世界で流布している伝説みたいなもので信憑性には徹底的に欠けているのですが、あの部分は、明らかな事実を元にされているのですね。夢見=マリクト・シノヴァであるので、やっぱりそこに嘘はあるわけですが)
 王家は大陸全土に向けてそれを発布しました。
 人類全体の大義を問いかけるものだったので、どの領主たちもそれに否やをいうことはできませんでした。
 というか、そこにつけ込んで、マリクト・シノヴァも北海王国の王に承認をさせたのですが。
 そういうわけで、「竜追い」なるものが生まれたのでした。
 それについて詳しく述べますと、
「竜追いとは、創造竜サナトスを探し出し、その存在を大陸に明らかにすることを目的とするものたちである」
「竜追いが、その目的を果たそうとする限りにおいて、諸王はこれを支援する」
「道を踏み外した竜追いは、直ちに討伐されるべきであるし、他の竜追い達もこれを行うべきである」
 このような具合です。
 多くの傭兵や冒険者たちが、「諸国の後ろ盾」を得られるこの機会に飛びつきました。
 そんなわけで、竜追いが生まれたのです。
竜追いの印象

 さて、竜追いの生まれ方は上の述べた通りでした。
 動機が不純じゃないか? はい、実はその通りなんです。
 多くの人々が、この竜追いになる道を選びました。
 中には、竜を探すということに大きな使命感を覚えて、まじめに竜追いになったものもいます。
 ですが、その大半は、元から冒険者として食いつないでいた人物が、「これになれば飢えなくてもすみそう」という考えで転身したものです。

 さて、大陸上に大きなネットワークを築いていた「冒険者ギルド」、また、「傭兵ギルド」の会員たちもその多くが竜追いになることにし、ギルドは立ちゆかなくなりました。そして、会員ごと、ギルドも方向転換することになりました。
 というわけで、かれらのネットワークごと、後を「竜追いギルド」が引き継ぎます。
 自然、それまで冒険者ギルドや傭兵ギルドに持ち込まれていた仕事は、竜追いギルドに持って行かれることになりました。
 それは本来の「竜追い」がするところではなかったのですが、需要がある以上は供給も発生します。元々、冒険者や傭兵として食べていたものたちがたくさんいましたので、非公式に仕事を受けるものも多かったのです。(かれらに罪の意識はありません。「〜してくれ」と頼まれて、してあげただけですから。それに、それをやめるつもりもなく竜追いになったわけですし)
 立場上、竜追いギルドも放ってはおけませんので、これを厳しく戒めました。
 ですが、困っている人を捨てておくわけにも行きませんし、独占できそうな市場をわざわざ捨てるのももったいないことです。そこで、領主にそれを認めさせました。すなわち、「竜を探すという大前提を守っている限り、竜追いの冒険者としての仕事も認める」ことをです。
 建前は、「仕事の機会を奪うのは、竜追いの士気を著しく減退させる」ということと、「竜を探すという大義を求めて、ただの民間人が竜追いになった例も多く、そういった人物に経験を積ませることができる」ということなど、至極もっともと思えるような理由がいくつもありましたが、まあ、その本音は「儲かるから」でしたし、竜追いギルドが儲かるということは、それを支援している諸国の儲けにもなるということです。そのようなわけで、竜追いたちは、冒険者たちの仕事も引き継ぎました。次第に、その名前も「竜追いの冒険者」となっていきます。この時、「竜追い>冒険者」でも、「竜追い<冒険者」でもありません。「竜追い=冒険者」です。

 試行錯誤の末、「竜追いギルド」の姿が確立されました。

 さてさて、ここで、竜追い達の考え方を聞いてみましょう。
 一人目が、使命感に燃える竜追い、二人目が、元冒険者の竜追いです。三人目は、どちらでもありません。
 どれが一般的かといえば……。

Q. あなたはなぜ、竜追いになったのですか?
 A1. なぜって、もちろん、創造竜を探すためさ!
 A2. 冒険者と同じ仕事しながら、支援ももらえるみたいだしー。
 A3. 面白そうだから。

Q. あなたは、ちゃんと創造竜の捜索をしてますか?
 A1. 当然だよ! この前も、聖大森林に調査に行ったくらいさ!
 A2. もちろん(目をそらす)。
 A3. まあ、してなくはないけどさ。そういう依頼があればってところかな。念頭には置いてるよ。

Q. 魔境の探索についてどう思いますか?
 A1. 創造竜がいるかも知れないしね、経験を積んだら、挑戦したいね!
 A2. わざわざ死にに行きたくはないなぁ。お金くれるんなら、ちょっとくらいなら……。
 A3. なかなか面白そうな所だよね。行ってみたいね。

Q. あなたはA1さんについてどう思いますか?
 A1. 胸を張って生きてるよ!
 A2. 好きにしてればいいんじゃない?
 A3. まあ、模範的な竜追いだよね。頑張って欲しいよね。

Q. あなたはA2さんについてどう思いますか?
 A1. なんて奴! あんなのがいるから、われわれのイメージが悪くなるんだ!
 A2. 胸を張って生きてるよ。
 A3. そりゃ、かれみたいな人もいるよね。でも、別にいいんじゃない?

Q. あなたはA3についてどう思いますか?
 A1. 一緒に仕事をすることもあるけど、創造竜を探すことにそこまで熱心じゃないのかな……?
 A2. A1よりは共感できるね。死ぬために生きてる訳じゃないってところは同じだね。
 A3. こういうスタイルも必要だろう?

 この場所で、A1たちに質問したいという方は、お気軽にGMまで
 投稿の余白にさらっと書く程度でオッケーです。


 さて、このような竜追い達の考え方を、人々はもちろん分かっています。
 A1みたいなまじめな人もいますし、A2だって仕事には熱心なので助けてもらえます。A3についてはいうまでもないでしょう。
 そんなわけで、人々も、竜追いの存在を受容しています。
 高潔な竜追いもいますし、身近な頼りになる人たちですので、わりと、尊敬されたりもしています。
 ならず者は竜追いの中でも追いやられてしまいますから、昔よりも安全ですしね。